夜空に輝く星は、澄んだ光りを放っている。
夜は、底の底まで冷えきっている。
暗い部屋。暖炉の炎。
ファイヤー・ウッドから、樹液が落ち、じゅっと音を立てる。
2人の人間が、テーブルを挟んで、座っている。
カイは、ワイングラスの中のワインを、暖炉の光りで照らす。
ワインの放つ艶めかしい赤に、ルイは魅入られる。
カイは、ワインを舌の上で転がし、感触を味わってから、飲み込んだ。
カイは、暖炉の炎を見つめる。
あ奴は、この炎のようだった。周りのものに、鋭い陰影を与え、普段は隠されているパトスをあらわにする。
奴は、心の奥底に埋められている、危険で甘美なものを、地上に引き摺りだしてしまうのさ。
そして、それを上手く操り、こちらを奴の支配下におく。
いってみれば、奴は、パトスのプリンスさ。
奴は恐ろしい、そして、俺が今まで見た人間の中で、最も美しい人間だ。
カイは、グラスをテーブルに置く。
奴と出会うことによって、俺の魂は、損なわれてしまった。
カイは、ルイにもう片方の顔を見せる。肉が爛れ、流れ落ち、一部分では、骨が露になっている。
俺は、逃げに逃げただけだ。
ルイ、そんな奴が、お前が戦わなければならない相手だ。
ルイは、身体の芯から、冷えてくるのを感じる。
ルイは、しばらく待つ。
身体の震えは、こない。
僕は、戦える。
ルイは、そう思った。
1995/09/05
2016/03/24
2016/03/19
月
雲の無い、夜空。満月。
草影で、ルイは、背中の翼を畳み、敵を待っている。
草々は、夜露を含み、先端で、水滴を作っている。
遠くで、月光を受け、草の水滴が、きらりと光る。きらめきは、遠くから近くへと、草々の水滴を伝わってくる。
敵は、光りのモードで戦う。
そう思った瞬間、ルイは、敵の太刀を受けるために、剣をさっと抜いた。
ルイの剣と、敵の剣が、ぶつかり、火花を散らす。
敵は、火花の放つ光りとなり、瞬時に移動する。
ルイは、迷わず、身体をスピンさせ、真後ろを向く。
剣と剣がぶつかる。
火花。
瞬時に、敵は消える。
このままでは、殺られる。
ルイは、一気に、上空遥か高く、移動した。光りが追ってくる。
ルイは、無数のルイに取り囲まれる。無数のルイが、ルイに襲いかかる。
ルイは、目を閉じる。
ルイの戦いのモードは、風だ。
風を、僕の視覚の代わりにすればいい。
風を感じる。
ルイは、そこへ向かって、スクリューさせた、マッハの速さの風を、放った。
敵は、月光に乗って、風の攻撃を、寸前で避けた。
地表へ逃れる敵を、ルイは追う。
ルイは、スクリュード・ストリームを、地面に向かって放つ。続いて、敵の後方に向かって放った。
地面に到達した、ストリームは、跳ね返り、上空に方向を変える。
敵は、上下のストリームに、挟まれる。
2つのストリームは、ぶつかる。
どーんという、腹に響く音がする。
敵の気配が、消える。
ルイは、目を開ける。
真円の月が、青白く光っている。
1995/08/27
草影で、ルイは、背中の翼を畳み、敵を待っている。
草々は、夜露を含み、先端で、水滴を作っている。
遠くで、月光を受け、草の水滴が、きらりと光る。きらめきは、遠くから近くへと、草々の水滴を伝わってくる。
敵は、光りのモードで戦う。
そう思った瞬間、ルイは、敵の太刀を受けるために、剣をさっと抜いた。
ルイの剣と、敵の剣が、ぶつかり、火花を散らす。
敵は、火花の放つ光りとなり、瞬時に移動する。
ルイは、迷わず、身体をスピンさせ、真後ろを向く。
剣と剣がぶつかる。
火花。
瞬時に、敵は消える。
このままでは、殺られる。
ルイは、一気に、上空遥か高く、移動した。光りが追ってくる。
ルイは、無数のルイに取り囲まれる。無数のルイが、ルイに襲いかかる。
ルイは、目を閉じる。
ルイの戦いのモードは、風だ。
風を、僕の視覚の代わりにすればいい。
風を感じる。
ルイは、そこへ向かって、スクリューさせた、マッハの速さの風を、放った。
敵は、月光に乗って、風の攻撃を、寸前で避けた。
地表へ逃れる敵を、ルイは追う。
ルイは、スクリュード・ストリームを、地面に向かって放つ。続いて、敵の後方に向かって放った。
地面に到達した、ストリームは、跳ね返り、上空に方向を変える。
敵は、上下のストリームに、挟まれる。
2つのストリームは、ぶつかる。
どーんという、腹に響く音がする。
敵の気配が、消える。
ルイは、目を開ける。
真円の月が、青白く光っている。
1995/08/27
2016/03/17
戦い
20世紀初頭、まだ映画は、1つの産業として、確立されていなかった。
しかし、その産業を独占を独占しようとする戦いは、すでに開始されていた。
エディスン社は、当時のアメリカで、最も有能な法律事務所、ダイヤー・アンド・ダイヤー事務所を使って、1897年、特許戦争を開始した。
映画をレンタルしたり、上映したりする者は誰でも、エディスン社に特許料を支払わなければならない。
エディスン社は、1通の発明特許によって、映画産業の独占を図ったのだった。
エディスン社は、1908年1月、アスター・ホテルでの主要映画会社との契約によって、輝かしい勝利を得た。
その契約は、販売したフィルム1フィートにつき、2分の1セントをエディスン社に支払うことを取り決めたものだった。
1909年には、エディスン社は、120万ドルの収益を手にした。
重要なのは、1908年12月に、ニューヨーク、ブリーヴァート・ホテルで結ばれた、契約だった。
その契約に署名した9社以外は、アメリカで、1フィートたりとも、フィルムを作ったり売ったりできない。
カルテルが形成され、魔術師エディスンは、満面に笑みを浮かべた。
しかし、勝利は、長続きはしなかった。
カルテルに反抗した、興行者たちは、早くも、1909年3月、独立映画連盟という同盟を設立し、カルテルに宣戦布告した。
カール・レムリとパトリック・A・パワーズという闘争好きの男たちが、喜々として戦った。
独立映画連盟は、リュミエール社とコロムビア映画社を加盟させ、カルテルを急速に崩壊させた。
屈服してしまう者もいるが、強大な力に、戦いを挑む者もいる。
レムリやパワーズのような男たちが、社会を活気づける。
1995/08/11
しかし、その産業を独占を独占しようとする戦いは、すでに開始されていた。
エディスン社は、当時のアメリカで、最も有能な法律事務所、ダイヤー・アンド・ダイヤー事務所を使って、1897年、特許戦争を開始した。
映画をレンタルしたり、上映したりする者は誰でも、エディスン社に特許料を支払わなければならない。
エディスン社は、1通の発明特許によって、映画産業の独占を図ったのだった。
エディスン社は、1908年1月、アスター・ホテルでの主要映画会社との契約によって、輝かしい勝利を得た。
その契約は、販売したフィルム1フィートにつき、2分の1セントをエディスン社に支払うことを取り決めたものだった。
1909年には、エディスン社は、120万ドルの収益を手にした。
重要なのは、1908年12月に、ニューヨーク、ブリーヴァート・ホテルで結ばれた、契約だった。
その契約に署名した9社以外は、アメリカで、1フィートたりとも、フィルムを作ったり売ったりできない。
カルテルが形成され、魔術師エディスンは、満面に笑みを浮かべた。
しかし、勝利は、長続きはしなかった。
カルテルに反抗した、興行者たちは、早くも、1909年3月、独立映画連盟という同盟を設立し、カルテルに宣戦布告した。
カール・レムリとパトリック・A・パワーズという闘争好きの男たちが、喜々として戦った。
独立映画連盟は、リュミエール社とコロムビア映画社を加盟させ、カルテルを急速に崩壊させた。
屈服してしまう者もいるが、強大な力に、戦いを挑む者もいる。
レムリやパワーズのような男たちが、社会を活気づける。
1995/08/11
2016/03/16
伝説
時は、戦国。
ある国に、武という、豪の者がいた。
子供の時、はや、人並み外れた体格を得ていた。酒に酔い、乱暴を働いていた、荒くれ達を、片手で、次から次へと、投げ飛ばしたそうだ。
荒くれ達は、相手が、子供だと知って、驚き、その子供に忠誠を誓った。
武は、もともと、父親的性格の持ち主だった。
武は、一帯の荒くれ達を、率いるようになった。
ある日、武は、荒くれ達の中から、主だった者を集めた。
俺は、この国の殿様に仕えてみようと思う。
この国で、俺達の相手になる者は、もう、誰もいない。
しかし、国と国になれば、手強い奴らが、わんさといる。
俺は、そ奴らと、戦ってみたいのよ。
荒くれ達も、戦うことを何よりも、愛していた。
武と、その一団は、この国の、正規軍になった。
この国の主も、当然、覇権を狙っていた。
武たちの申し出は、渡りに船だったのだ。
武一団に、馬と武器と食料が支給された。
武は、防具は、悉く、返した。馬の負担になる。歩行の負担になる。
武は、戦いにおいて、最も、大切なのは、スピードだと知っていた。
武一団は、強敵を、次から次へと破った。
武の国は、覇権を握ろうとしていた。
国主は、武たちの労をねぎらうために、武たちを、城内に招いた。
その席に出された酒に痺れ薬が、入っていた。
武が、目を覚すと、剣を片手に、仁王立ちになった殿がいた。
身体は、動かない。
なぜ、俺を殺す?
そなたは、私のことを、疑ったことがあるまい。
そなたは、純粋過ぎる。
いまの段階で、それは、非常に危険だ。
主は、その言葉を言い終わらないうちに、一刀のもと、武の首を撥ねた。
武の国主は、覇王になることはできなかった。
武の国は、破れ去り、衰退し、忘れ去られた。
しかし、武は、忘れられることはなかった。
あれほどの豪の者が、やすやすと殺られるはずがない。
人々の心の中で、武は、海を渡り、広大な大地で、戦い続けた。
こうして、武は、戦いの神になったのだった。
1995/07/26
ある国に、武という、豪の者がいた。
子供の時、はや、人並み外れた体格を得ていた。酒に酔い、乱暴を働いていた、荒くれ達を、片手で、次から次へと、投げ飛ばしたそうだ。
荒くれ達は、相手が、子供だと知って、驚き、その子供に忠誠を誓った。
武は、もともと、父親的性格の持ち主だった。
武は、一帯の荒くれ達を、率いるようになった。
ある日、武は、荒くれ達の中から、主だった者を集めた。
俺は、この国の殿様に仕えてみようと思う。
この国で、俺達の相手になる者は、もう、誰もいない。
しかし、国と国になれば、手強い奴らが、わんさといる。
俺は、そ奴らと、戦ってみたいのよ。
荒くれ達も、戦うことを何よりも、愛していた。
武と、その一団は、この国の、正規軍になった。
この国の主も、当然、覇権を狙っていた。
武たちの申し出は、渡りに船だったのだ。
武一団に、馬と武器と食料が支給された。
武は、防具は、悉く、返した。馬の負担になる。歩行の負担になる。
武は、戦いにおいて、最も、大切なのは、スピードだと知っていた。
武一団は、強敵を、次から次へと破った。
武の国は、覇権を握ろうとしていた。
国主は、武たちの労をねぎらうために、武たちを、城内に招いた。
その席に出された酒に痺れ薬が、入っていた。
武が、目を覚すと、剣を片手に、仁王立ちになった殿がいた。
身体は、動かない。
なぜ、俺を殺す?
そなたは、私のことを、疑ったことがあるまい。
そなたは、純粋過ぎる。
いまの段階で、それは、非常に危険だ。
主は、その言葉を言い終わらないうちに、一刀のもと、武の首を撥ねた。
武の国主は、覇王になることはできなかった。
武の国は、破れ去り、衰退し、忘れ去られた。
しかし、武は、忘れられることはなかった。
あれほどの豪の者が、やすやすと殺られるはずがない。
人々の心の中で、武は、海を渡り、広大な大地で、戦い続けた。
こうして、武は、戦いの神になったのだった。
1995/07/26
2016/03/10
伝説
フィリップ候は、勇猛をもって、諸国に知れ渡っていた。
人々は、敬意を表して、彼のことを、ただ、ナイトと呼んだ。この呼称には、人々の茶目っ気も混ざっていた。候の王妃に対する、純粋な熱愛も知れ渡っていたのだ。
隣に接する敵国は、候の仕える国が、欲しくてたまらなかった。この国を手に入れることは、王の中の王になる道を手に入れることを意味する。最大の障壁となるのは、フィリップ候だった。
敵国は、王妃をさらった。王は、莫大な身の代金を申し出たが、敵国は、受け入れなかった。敵国は、候を要望した。候は、王妃への愛故に従った。
敵国で、候が会ったのは、王妃の首だった。候は、号泣し、怒り狂った。10人以上のもの、護衛兵が、素手で、葬り去られた。
押さえ付けられた候は、両手両足を鎖で繋がれ、光りの差さない地下牢に閉じ込められた。地下牢に閉じ込められた候は、食べ物はおろか、水さえもほとんど取らなかった。
敵国にとって、候のいない国は、赤子も同然だった。
勝利の日、敵国の王は、部下に、フィリップ候を連れてくるように命じた。王は、捕らわれの候を見ることによって、勝利を実感したかったのだ。
候が、広間に姿を見せると、王は、躊躇なく、候に近づいた。両手両足を鎖で縛られ、食べ物をほとんど口にせず衰えた候に王は、なんの警戒心も持っていなかったのだ。
王が近づくと、候は、身を屈め、何事かを呟いた。王は、聞き取ろうと、頭を下げた。その瞬間、候の両膝が、撥ね上げられ、王の顎を捉えた。同時に、降り下ろされた、両肘が、王の頭頂を襲った。骨が、破壊された音がした。候には、それが、天使の歌声に聞こえた。
呆然とした人々を広間に残し、候は、城の窓から身を踊らせた。候の身体は、暗い河に呑み込まれた。
その後の候の行方は知れない。
こうして、フィリップ候は、伝説の人となったのだった。
1995/05/15
人々は、敬意を表して、彼のことを、ただ、ナイトと呼んだ。この呼称には、人々の茶目っ気も混ざっていた。候の王妃に対する、純粋な熱愛も知れ渡っていたのだ。
隣に接する敵国は、候の仕える国が、欲しくてたまらなかった。この国を手に入れることは、王の中の王になる道を手に入れることを意味する。最大の障壁となるのは、フィリップ候だった。
敵国は、王妃をさらった。王は、莫大な身の代金を申し出たが、敵国は、受け入れなかった。敵国は、候を要望した。候は、王妃への愛故に従った。
敵国で、候が会ったのは、王妃の首だった。候は、号泣し、怒り狂った。10人以上のもの、護衛兵が、素手で、葬り去られた。
押さえ付けられた候は、両手両足を鎖で繋がれ、光りの差さない地下牢に閉じ込められた。地下牢に閉じ込められた候は、食べ物はおろか、水さえもほとんど取らなかった。
敵国にとって、候のいない国は、赤子も同然だった。
勝利の日、敵国の王は、部下に、フィリップ候を連れてくるように命じた。王は、捕らわれの候を見ることによって、勝利を実感したかったのだ。
候が、広間に姿を見せると、王は、躊躇なく、候に近づいた。両手両足を鎖で縛られ、食べ物をほとんど口にせず衰えた候に王は、なんの警戒心も持っていなかったのだ。
王が近づくと、候は、身を屈め、何事かを呟いた。王は、聞き取ろうと、頭を下げた。その瞬間、候の両膝が、撥ね上げられ、王の顎を捉えた。同時に、降り下ろされた、両肘が、王の頭頂を襲った。骨が、破壊された音がした。候には、それが、天使の歌声に聞こえた。
呆然とした人々を広間に残し、候は、城の窓から身を踊らせた。候の身体は、暗い河に呑み込まれた。
その後の候の行方は知れない。
こうして、フィリップ候は、伝説の人となったのだった。
1995/05/15
2016/03/09
ゴング
ジュンは、コーナーに座っている。
3Rが終わったところだ。どうして、リングはこんなにも眩しいのだろう。
ジュンは、接近して戦うことを得意としていた。典型的な、ファイターだった。
今夜の相手は、近づくことを許さなかった。
相手の懐に飛び込もうとすると、右のショートアッパーが、的確に襲ってきた。上体を起こされた、ジュンが、相手を視界に捉えたとき、相手は、ジュンの射程距離から遠く離れたところにいた。
こんなときには、疲労も早い。まだ、3Rしか戦っていないのに、片足を棺桶に突っ込んだような気分だ。
セコンドのコーチの声がする。よお、ジュン、離れて戦ってみちゃどうだ。ジュンは、振り仰いで、ジュンがファイターであることを誰よりもよく知っている、コーチの目を見つめた。その目は、お前は負けだと語っていた。負けるなら負けるで、潔く負けろ。
ジュンは、視線をリングに戻す。もう、眩しくはなかった。白く輝いていた。
どこかの外国の気取ったおっさんが、男は、負けと判っていても、戦わなければならないときがあるって言ってたな。そんなの嘘さ。勝つために戦うんだ。それが真実だ。
あの右アッパーをいかに封じるか。ジュンの頭はフル回転する。ゴングが鳴る。勝利を確信した相手は、浮かれたように、勢いよくコーナーを飛び出した。
それを見て、ジュンは、冷静に戦えば、勝機のあることを知る。
ジュンは、ゆっくりと微笑んだ。
1995/04/27
3Rが終わったところだ。どうして、リングはこんなにも眩しいのだろう。
ジュンは、接近して戦うことを得意としていた。典型的な、ファイターだった。
今夜の相手は、近づくことを許さなかった。
相手の懐に飛び込もうとすると、右のショートアッパーが、的確に襲ってきた。上体を起こされた、ジュンが、相手を視界に捉えたとき、相手は、ジュンの射程距離から遠く離れたところにいた。
こんなときには、疲労も早い。まだ、3Rしか戦っていないのに、片足を棺桶に突っ込んだような気分だ。
セコンドのコーチの声がする。よお、ジュン、離れて戦ってみちゃどうだ。ジュンは、振り仰いで、ジュンがファイターであることを誰よりもよく知っている、コーチの目を見つめた。その目は、お前は負けだと語っていた。負けるなら負けるで、潔く負けろ。
ジュンは、視線をリングに戻す。もう、眩しくはなかった。白く輝いていた。
どこかの外国の気取ったおっさんが、男は、負けと判っていても、戦わなければならないときがあるって言ってたな。そんなの嘘さ。勝つために戦うんだ。それが真実だ。
あの右アッパーをいかに封じるか。ジュンの頭はフル回転する。ゴングが鳴る。勝利を確信した相手は、浮かれたように、勢いよくコーナーを飛び出した。
それを見て、ジュンは、冷静に戦えば、勝機のあることを知る。
ジュンは、ゆっくりと微笑んだ。
1995/04/27